結婚式披露宴で流すBGMや
ウエディングムービーで使用する楽曲の著作権問題は、
これから結婚式を考えているカップルには避けて通れない問題だと思います。
結婚式で使用する音楽類の著作権に関してはこちらの記事でも解説してます。↓
https://beginner-movie.com/wedding/tyosakuken-isum
簡単におさらいすると
- 結婚式披露宴でアーティストの楽曲をCDに入れてBGMとして流す場合
- 結婚式の様子を撮影したビデオにBGMが入っており、そのままDVDに焼いてもらう場合
- ウェディングムービーのDVDにアーティストの楽曲を入れて流す場合
となっています。
楽曲使用を申請する際には、主にISUMという仲介業者を通してJASRAC等の権利団体に申請することになります。
そしてその申請料金は楽曲の本数や尺の長さに応じて細かく規定されています。
そのブライダルシーンでの楽曲使用における
料金体系システムが大きく変わる事件がありました。
これから結婚式の費用が余計に高くなる可能性があります。
この記事では、結婚式の楽曲使用の料金体系がどのように変わったのか?
今後、結婚式を挙げるカップルにどのような影響があるのかを解説していきます。
今回の対象はあくまでJASRACや日本レコード協会が著作管理している楽曲のみになります。
フリー楽曲や自分で作った楽曲に対しては料金は徴収されません。
Contents
2019年10月から一部の結婚式で楽曲使用に一律15,000円掛かる
2019年9月に出されたJASRACに関するこちらのネットニュース記事です。↓
JASRAC、結婚披露宴で流す曲に包括使用料を試験導入。1回の式で計15,000円(Yahhoニュース AV Watch:中林暁)
以下に上記記事の要点をまとめます。
- JASRACがブライダルシーンにおける包括的な楽曲使用料金の徴収を試験的に導入
- ブライダル事業者が支払う包括使用料額を変更する
- オーディオ録音(進行用録音物)は1催物あたり5,000円の費用
- ビデオグラム録音(記録用録音物)は1催物あたり10,000円の費用
- プロフィールムービーなどの「演出用録画物」については対象外(コレが最悪)
- 2019年10月1日から試験的に一部のブライダル事業者で導入する
それぞれの要点について掘り下げて解説します。
①JASRACがブライダルシーンにおける包括的な楽曲使用料金の徴収を試験的に導入
料金のシステムが非常に難解だった結婚式での音楽の使用料金に、
ついにJASRACがメスを入れました。
今までブライダルシーンで使われる楽曲の1曲ごとに、バラバラに料金がかかり
それごとに申請が必要でした。
バラバラにすると分かりにくいので、それを「一つの結婚式でひとまとめ」にする事で
分かりやすく料金を徴収できるように考えたわけです。
あくまで「試験的導入」なので、これから全ての結婚式での楽曲使用料金が変更になるわけではありません。
ブライダル事業者が支払う包括使用料額を変更する
これはあくまで制作会社やブライダル事業者がJASRACに対して支払うものです。
つまり新郎新婦が直接JASRACに支払うわけではありません。
誤解が多いので改めて簡単に解説しますが
結婚式の使用楽曲の申請はJASRACに対して新郎新婦側からも直接行う事はできます。
しかし、非常に手続きが複雑で難しいため、業者を仲介して行うのが一般的です。
以下のような流れになります。↓
新郎新婦 → 式場・ビデオ会社 → ISUM → JASRAC・日本レコード協会
私たちは結婚式場やビデオ制作会社に対して楽曲使用申請を依頼する形です。
楽曲料金を支払うのは式場やビデオ会社と言う事を理解しておきましょう。
とはいえ新郎新婦が結婚式で音楽を使用することを決めたら
その分、「楽曲使用料」として支払い金額が上乗せされることは間違いないでしょう。
オーディオ録音(進行用録音物)は1催物あたり5,000円の費用
これに該当するのは、結婚式披露宴プログラム進行の際にBGMの入ったCDを流す場合です。
- 新郎新婦入場の時
- 中座の時
- お色直しの間の歓談中
- ケーキカットの時
- スピーチの時
等々・・・・
様々なシーンで使われるBGMは、これまでバラバラに申請されていました。
楽曲の長さや本数に応じて金額が変わってくるので
本数を少なく短い曲を使用すればするほど、楽曲使用料金は安くなります。
しかし、今回の試験導入では、これらのプログラム中にBGMの入ったCDを使用する際の料金を
全てひとまとめにして5,000円徴収することに決めたというものです。
一品だけ食べるという事すらできなくなって一律5,000円掛かる事になったけど、これはひとつの結婚式で元を取ることはまず無理だろうね。
使用する楽曲を増やせば増やす程「得する」訳ではなく、「損が減る」だけだから大してメリットは無いね。
ビデオグラム録音(記録用録音物)は1催物あたり10,000円の費用
結婚式の様子をビデオに納めてもらってDVDに焼いてもらうプランを組んでいる人も多いかと思います。
挙式や披露宴の様子を収めた、カメラマンのビデオに入り込んだ音楽に対して一律10,000円の徴収というものです。
アレって音楽の使用料金がかかるの?
DVDに焼いてもらうし、結婚式場で流すわけではないからお金は掛からないのでは?
音楽の入ったモノを、無許可でCDやDVDに焼いて配布したり、大衆の前で流してはダメという決まりがあるんだ。
もちろんこれもお金を払わないといけない。
結婚式のムービーをDVDに焼いてもらう際に、
後ろで流れてるBGMが入っているシーン(新郎新婦入場や中座するシーンなど)だけ「無音の状態」で書き込んでもらうというカップルもたくさんいました。
これは複製権への抵触を避けるため。
もちろん、楽曲使用料金のお金を払えばいいのですがこれはある問題が・・・
結婚式当日にCDで流したBGMにもお金がかかるし
DVDに書き込んだビデオのBGMに対してもお金がかかると言う事です。
つまり、ダブルで楽曲使用料が取られてしまうんです。
「結婚式の様子を撮影したビデオは、BGMのシーンだけ無音の状態にしてお渡しして安くできますが・・・・」と提案する所が多いんだ。
だって二重に楽曲使用料がかかるなんて聞いたら、新郎新婦としてはキツイ。
もちろんどっちもお金を払うなら問題ないんだけどね・・・
結局、結婚式披露宴でBGMの入ったCDを流すのも
ビデオを撮ってもらってDVDに焼くのも
どちらも希望する場合は、曲の本数に限らず15,000円かかるという事になります。
プロフィールムービーなどの「演出用録画物」については対象外
これが地味なようで一番最悪です。
オープニングムービーやプロフィールムービー、エンドロールムービー等の各種ムービーに
アーティストの楽曲を入れて会場で流すのも複製権に関わるので楽曲利用申請が必要です。
しかし、今回の試験導入ではこのウェディングムービー類には、包括的料金システムが適用されません。
つまり、先ほどの15,000円とは別にお金がかかると言う事です。
正直、一番ややこしいのはムービーに入れ込んだ楽曲使用の料金システムです。
こっちはそのままにしているから、複雑な所は複雑なまま別料金で残しているという体たらく・・・
2019年10月1日から試験的に一部のブライダル事業者で導入する
これは2019年の10月1日から「試験的に一部のブライダル事業者で導入」する事になります。
この記事を見ているあなたが結婚式を挙げる式場が、この事業者に該当しているかどうかは直接聞いてみないと分からないでしょう。
「試験的に」なので、本格的に全国で導入されるかは不明です。
しかし、JASRACが本腰を入れて楽曲使用料金の徴収に乗り出した事は間違いないでしょう。
結局JASRACのブライダル楽曲料金体系変更後のメリットはあるのか
今回の試験的導入とされている料金システムの変更がされた場合、
新郎新婦にとってどのようなメリットがあるのでしょうか?
以下のようにメリットをまとめてみます。
- 複製権の楽曲使用料金がひとまとめになって分かりやすくはなった
- 楽曲使用料金は統一されているので、楽曲を多く使用すればするほど「損が減る」
せいぜいこの2つです。
しかし、はっきり言ってデメリットの方が非常に大きい。
JASRACのブライダル楽曲料金変更後に予測されるデメリット
今回の料金システムが本格的に導入されたら、新郎新婦側としてはデメリットしかないでしょう。
- CDに音楽を書き込んで式場で流せば、1曲であろうとも問答無用で5,000円とられる
- 結婚式の様子を収めたビデオのBGMをそのままDVD等に焼いてもらう場合10,000円とられる
- 実質的に当日の様子を収めたビデオの販売価格が10,000円値上がりする可能性大。
- これらの料金の他に、ウエディングムービーにBGMを入れて流せば、そちらは別に手続きが必要で別途料金も取られる。
- ブライダル会社のプラン内に料金が組み込まれ、ごまかしがきかなくなる
こんなところです。
特に注目してほしいのが⑤「ブライダル会社のプラン内に料金が組み込まれ、ごまかしがきかなくなる」という点です。
なぜなら、今まで複雑だった料金徴収システムが一律金額で統一されてしまえば、新郎新婦側に説明が楽になるんだ。
だからもうごまかす必要が無くなったということ。
「音楽流すなら5,000円掛かりますよ。」「ビデオ撮って音楽入れるなら10,000円掛かりますよ」と一言で説明できるからね。
今までは、ブライダルの楽曲使用に関する複雑な料金システムなんて誰も説明しようとしませんでした。
新郎新婦は著作権の事など勿論知らないし、
その複雑な料金体系をわかりやすく説明できるプランナーもいないから
結果的に式場側も黙認していたところが多かったんです。
つまり
こっそり黙認してもらっていた分、楽曲使用料金をJASRACは徴収しきれていなかったわけです。
JASRACはブライダルシーンの包括的音楽徴収が効率良い事に気付いた
JASRACは以下のようなことに気づいたのでしょう。
そのせいでカップルに説明しない式場も増えているし、徴収漏れが発生している。
ならば、一律で15,000円かかることにすれば、しっかり漏れなく徴収できるじゃないか!
流石。
著作権料の徴収に関しては、本当にいろいろ考え付きますね。
こうしておけば、結婚式場としてもそこまで悪い話ではありません。
何百万円の見積もりをとる結婚式費用から、15,000円値上げすればいいだけですから。
ただ、JASRAC側の事情を説明しないといけない良心の呵責はプランナーや業者さんも感じるかもしれません。
人は面倒くさがりの生き物です。
自分でDIYして棚を作った方が安く仕上がるでしょうが
棚を買ってきてそれを置く方が、費用は高くついても「楽」なんです。
15,000円が高いかどうかなんて、みんなそこまで考えていないでしょう。
この金額は恐らく
結婚式の料金プランの一つに「楽曲使用料」として組み込まれることになるかと思います。
ドレスで何十万円。
料理で何十万円。
このように金銭感覚が崩壊している結婚式の各項目の中の15,000円なんて、
何のためらいもなく「音楽の代金なら仕方ない」とポンと出してしまう人がほとんどではないでしょうか?
料金徴収が単純化した今後、ISUMは存続できるのか?
ひとつ気になるのはISUMの存在です。
ISUMは複雑な複製権の申請をJASRACに対して、代行してくれる団体ですが
今後その経営は継続できるのでしょうか。
CDとビデオの複製権が一律15,000円で徴収されるとなればISUMの仕事は急激に減ります。
ISUMの存在意義は「ウェディングムービーに使用する音楽の複製権」に関する代行業しかなくなってしまうのでは?
今回の試験的導入でウェディングムービーに関する楽曲使用料金に一切変更がなかったのは
ISUMから全ての仕事を奪ってしまうからではないでしょうか?
なんにせよ、各団体の利権のために新郎新婦が損を被る事態になりかねない状況になりました。
結婚式の楽曲使用料金が変更された後、結局どうすればいいのか
今回の料金システムの変更によって、今後の新郎新婦はどう対処していけばいいのでしょうか?
新郎新婦が起こすべき行動は既に限られています。
担当プランナーにメチャクチャ相談することです。
JASRACの新料金システムに対応していく式場なのかどうかも確認の必要がありますし
それに対してどのようなプランと料金設定を式場側が設けているかを知っておく必要があります。
今まで通用していた「黙認」という方法がもはや通用しなくなってしまうかもしれません。
そして、はじめからこういった楽曲の著作権に関するいざこざを避けたい時は、
全てフリー音楽で揃えてしまうという最強の方法があります。
これが単純で一番手っ取り早いでしょう。
フリー音楽を提供してくれているサイトはこちらの記事にまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。↓
https://beginner-movie.com/wedding/weddingmovie-freemusicsite
しっかりとプランナーとよく話し合った上で、ベストな選択肢を掴んで言って下さい。