「申し訳ありませんが、このDVDは流せません」
最近では自作DVDを納品する際、式場側からNGを出されるというカップルの話をよく耳にするようになりました。
しかしこのNGの判断は式場やプランナーによって大きく異なります。
ここ数年でブライダル業界の著作物に関しての姿勢は変化しつつあります。
本来守られるべき著作権をしっかり守っていこうという取り組みに、ここ数年で力が入れられてきたということだと思います。
はじめてムービーを自作するという人は、著作権についてこの記事を一読する程度ぐらいは理解しておく事をオススメします。
先ほども触れたように
完成したDVDが挙式直前になって「これは流せません」とNGをくらうという最悪のパターンにもなりかねません。
よくあるカップルの悩みに
- 「好きな音楽を使いたいけど、使えないのか」
- 「いったいどこからどこまでが著作権に引っかかるかわからない」
- 「著作物を使用する際には申請しないといけないのか?」
- 「どこに申請すればよいのか?」
- 「なんとか申請せずに済む方法はないのか?」
といったものがあります。
初めて結婚式でムービーを作る人にとって、この著作権問題というのは非常に厄介です。
ただでさえ難解な著作権を理解した上でややこしい申請を行わなければならなかったり、著作物の使用を控えてムービーを作らないといけなくなったりと神経を削る思いをします。
まずはプランナーへの相談が必要不可欠になります。
基本的に私は著作物使用をJASRACや日本レコード協会等の権利団体へ申請する事をお勧めしません。
わざわざ調べて申請する時間とお金が非常にもったいないです。
しかし、著作権に対しての理解はこの記事に記載している程度の理解は最小限しておいた方が良いです。
この記事では結婚式でムービーを自作するときに関わってくる3つの著作権の内容を解説します。
注意ポイント
この記事はあくまで、ブライダルシーンにおける楽曲使用の正しい利用方法を紹介するものです。著作権の侵害をお勧めするものではありません。
そもそも結婚式場でムービーを流すということは、著作権法上ではどういうことなのか
ムービーを作る上で著作権が関わってくる第一段階は、そのムービーを「どこで」流すかという段階です。
ムービーを作る目的が家族と一緒に自宅で楽しむためというものであればいくらでも好きな音楽や画像を使ってムービーを作ることができます。
しかし、これが結婚式場のような「公共の場」となると話は変わってきます。
不特定多数の観衆がいる前でDVDを流すと、そのDVDに入っている楽曲に対して著作権と著作隣接権がかかってきます。
私的利用の範囲外に対して著作権が引っかかってきますので、楽曲及び画像利用の申請を行い、使用許可を得なければなりません。
つまり、結婚式場でムービーを流す際には、動画内に著作権の発生する楽曲や画像が使用されていた場合、権利を有する個人もしくは団体に申請し、その許可が必要ということになります。
この申請を行っていないと著作権法の違反となり、10年以下の懲役又は1000万円以下の罰金となっております。
あくまでこれは著作権をもつ有権者が申告しない限りは罰則が発生しませんので、式場でムービーを流しただけで即処罰対象とはなりません。
判例がほとんどみられないので、現状ではすぐに捕まるということはないかもしれません。
では、いよいよブライダルシーンで関わってくる著作権について解説します。
主に次の3つに分けられます。
- 肖像権
- 演奏権
- 複製権
このそれぞれを細かく解説していきましょう。
著名人の画像や動画を使ってはいけない「肖像権」について
式場で真っ先にNGされやすいムービーがこの肖像権を侵害しているムービーです。
なぜ真っ先にNGが出されるかというと、肖像権を侵害しないようにムービーを作ることは比較的ハードルが低いからです。
掘り下げると非常に難しくなるのでブライダルシーンにおいて肖像権に該当するものを大まかに簡略化して説明します。
著名人の画像や動画、アニメや映画のワンシーン、キャラクターの使用を制限する権利です。
これを一切使わないムービーであれば全く問題ありません。
ネット上にも未だにオープニングムービーの例として映画予告の嘘字幕ムービーや、映画のワンシーンを使ったムービーが公開されてますが、いくら興味を惹かれてもそれらを参考に作らないようにしましょう。
ディズニーやハリウッド、その他の映画製作会社に一個人がわざわざ結婚式のムービーのために許可をとるはずもない事は式場側にはバレバレです。
許可をとっていないことは誰にでも一発でバレます。
後は式場側の判断とプランナーとの相談次第になります。
では、肖像権に抵触しない画像や動画はどういったものでしょうか?
肖像権にかからないもの、かかりにくいもの
これには主に次のようなものがあります。
・自分たちが撮影した画像や動画
・公共の場での撮影(街頭、観光地、施設、テーマパーク等々・・・)
・個人が特定できない画像や動画(ぼかしが入っている、ボケている、特定できる個所が隠れている)
・フリー素材(使用許諾が特別必要でない画像や動画)
これらは簡単に用意できるものですので、肖像権でNG出されるぐらいなら始めからオリジナル素材とフリー素材だけでムービーを作り上げておきましょう。
基本的にスルーしていい「演奏権」について
続いて演奏権の解説です。
結婚式場で楽器の演奏や音楽を流す行為は演奏権に該当します。
結婚式でBGM用に使うためにと自分たちで持ち込んだCDから音楽を流しても演奏権の侵害に当たります。
これにはJASRAC及び日本レコード協会等への利用許可の申請と許諾が必要です。
しかしこの演奏権は、完全に無視していいです。
なぜなら、演奏権の利用者と許諾申請が必要なのはホテルや結婚式場側であり、新郎新婦等の一個人に対して申請を求めているものではないからです。
通常、結婚式場はJASRACに対して既に楽曲使用の申請を行っているので、新郎新婦が演奏権を気にする必要はありません。
ここを混同している人が多いので
「好きな音楽を式場で流すにはJASRACに申請が必要だよね?」
「申請しないと違法なんだよね?」
と勘違いしてしまいます。
著作権料も式場が払っています。
新郎新婦は気兼ねなくいくらでも好きな曲を流して大丈夫です。
しかし、ここから先には最大の障壁が発生します。
それが次の複製権です。
CDとDVDを持ち込む際の最大の障壁「複製権」について
複製権とは著作物をコピーすることに対して発生する権利制限です。
著作物(音楽や画像)を自前のCDやDVDに録音・録画しそれを人に売ったり渡したりすることを禁止するためにある権利です。
大まかに複製権で制限されるのは次のような行為です。
- コピーしたものを売ったり渡したりする行為
- コピーしたものを公共の場で使用する行為
自分で個人的に楽しむために好きな曲をまとめてCDを作るという行為は全く問題ありません。
家庭内でCDやDVDを焼いて渡したりという行為も大丈夫です。
しかし、CDを焼いて友人に渡すという行為はこの複製権の侵害にあたり厳密にいえばアウトになります。
複製権はブライダルシーンでどのように関わってくるのか
結婚式場のような公の場で自分で複製(コピー)したCDやDVDを使用する行為は複製権に大きく関わってきます。
具体的にブライダルシーンでは以下のような3つのシーンで該当します。
- 結婚式でBGMに使いたい音楽をCDに入れてそれを式場で流す。
自分の好きな曲をひとつのCDにまとめたものを
式場で流す行為はアウトになります。
iTunesから購入した曲や
レンタルしたCDから曲を焼いても
複製権の観点からはアウトになります。
- 自作したムービーに音楽を入れて式場で流す。
自作したムービーに好きな曲を入れ込んで
それを焼いたDVDを式場で流すとアウトになります。
- 結婚式の様子を録画した動画に、音楽が一緒に入った状態でDVDに焼いて渡す。
カメラマンや友人が結婚式の様子を撮影した際、会場から流れているBGMが入った状態でDVDを焼いて渡す行為はアウトです。
結婚式場のカメラマンが撮ったDVDであっても音楽が入っていればアウトです。
ちなみにこれらの複製権の利用申請は式場側は行ってくれません。
全て個人で行う必要があります。
この3つのシーンで複製権が発生するので、結婚式での音楽の自由は思いっきり制限されてしまうことになります。
時代の流れに法律が追い付いていない一例ですね・・・
音楽の利用で権利団体に申請が必要なのはこの複製権に関わる場合のみです。
誤解が無いようにもう一度いいますが、演奏権は申請が必要ありません。
「せっかくの結婚式だから、使う曲を全部申請してやる!」
と思われた立派な方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、楽曲利用の申請は現実的ではなく、あまりおすすめできません・・・
↓こちらの記事に続きます。
【申請するな】結婚式で好きな曲を無断利用できるたった1つの方法【著作権】
この記事ではブライダルシーンにおける 複製権をクリアするための方法について解説いたします。 複製権については↓の記事で詳しく載せていますので、それに目を通した前提で本記事では解説をしています。 【捕ま ...
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